はじめに

お子さまが不登校になると、「母親が原因だ」「親のせいだ」という非難を受けることがありますが、不登校の原因を親と決めつけることは適切ではありません。
不登校の背景には様々な要因があります。しかし、不登校のお子さまを持つ保護者にはいくつかの特徴がみられることも事実です。
不登校のお子さまに対して親ができることは、結論から言うと、環境整備に尽きます。
この記事では、不登校が親の責任とされる背景や、不登校のお子さまを持つ親ができることについて解説します。
不登校の原因の多面性

文部科学省は、不登校の原因を次の3つに分類している。
- 学校に係る状況
- 家庭に係る状況
- 本人に係る状況

図 不登校の要因
(引用元:令和4年度令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要)
それぞれの不登校の原因のうち、代表的なものを挙げ、掘り下げていきます。
・学校に係る原因
学校に係る原因として一番多くの割合を占めているのは、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」です。学校は様々な学習の場です。勉強の場はもちろんですが、対人関係を学ぶ場でもあります。学年が上がるとともに様々なコミュニティが増え、関係も複雑になり様々なトラブルが起こりがちです。「スクールカースト」と呼ばれる目に見えないグループ間の序列があり、ときに過酷な環境を経験することもあります。
そのほかに「中一ギャップ」という現象が不登校に繋がりやすくなります。「中一ギャップ」とは小学校を卒業して中学校へ進学した際、これまでの小学校生活とは異なる新しい環境や生活スタイルになじめず、授業に行けなくなったり、いじめが起こったりする現象のことです。
・家庭に係る原因
家庭に係る原因として一番多くの割合を占めているのは、「親子の関係」です。両親の離婚や再婚といった家庭の出来事が子どもの不登校に影響する場合があります。保護者と子どもの関係が不登校に影響を与えることもあります。保護者が直接の原因でなくても、保護者とのかかわりの中で培われた価値観や性格が友人関係のトラブルを起こしてします場合もあります。
・本人に係る原因
本人に係る原因として一番多くの割合を占めているのは、「無気力、不安」です。これは小中学校における不登校の子どもの不登校になった原因の中で最も多い(51.0%)ものである。学校に行きたくない明確な理由がなく、なんとなく行きたくないという無気力状態の子どもが多いのが特徴です。周囲が見守るのみの対応をしていると、不登校の期間が長くなり、長期の引きこもりとなる恐れがあります。
ここまで不登校の原因を3つに分類してまとめてみたが、原因はひとつではなく複雑に絡み合っていることがほとんどです。
たとえば、「友達とうまくいかないから」という理由で学校を休んだ場合、学校に係る問題と判断されますがその根本には幼いころに親御さんたちに甘えられず愛着障害が生じて、他人と人間関係をうまく結べなくなった、という原因が潜んでいるかもしれないです。その場合家庭に係る問題とも考えられます。このように不登校の原因はひとつではないので、ひとつの原因を特定することはあまり意味がないです。
親の役割と責任

教育の義務について、日本国憲法第26条には以下のように明記されています。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
(引用元:日本国憲法第26条)
簡単に要約すると、子どもには教育を受ける権利が保障されているということです。
同じく第26条第2項には、次のように明記されています。
すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。
(引用元:日本国憲法第26条)
これは、小学校から中学校までの9年間は保護者が子どもに教育をさせる義務があるということです。
ここで注目すべきは、義務があるのは子どもではなく、保護者にあることです。子どもが教育を放棄する分には何も問題はありません。
2017年に不登校の子どもたちが教育を失わないための法律として通称「教育機会確保法」というものが施行されました。
この法律は学校に行けない子どもに休養を与え、その間、学校以外の場所での学びを推奨していく考え方を示しました。
さらに、2019年に文科省は不登校の子どもたちの支援は学校復帰を目標にするのではなく、子どもたちが自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指すと明記した通知を出しました。
このように不登校は決して悪いことではないです。
親のサポートと理解の重要性

現代の子どもたちは、SNSの普及により、学校の人間関係が常に身近にあり、ストレスを抱えることが増えました。昔は家に帰れば学校のことを忘れられましたが、今はSNSを通じて友達と繋がっており、学校の問題が持ち歩かれます。このような状況での生活は、子どもたちにとって生きづらさを感じることが当然です。
そこで、親ができることは「環境整備」です。葛藤や不安は子どもの成長に欠かせないものです。気持ちの揺れ動きの中で、彼らは人間関係や学校生活、社会との付き合い方を学び、徐々に自立していきます。周囲の大人が協力し、子どもたちの自立を支える環境を整えることが重要です。
たとえば、「現在の世界は実は小さい。外には広大な世界が広がっている。自由に外に出ることができるんだよ」という言葉を通じて、子どもたちが安心できる場所を見つける手助けをしましょう。
不登校と家庭環境の関連

不登校の原因が保護者にあると決めつけることは適切ではありません。しかし、不登校になるお子さまや不登校のお子さまをもつ保護者様にはいくつかの特徴がみられることも事実です。ここでは不登校になりやすい子どもを持つ親によく見る特徴をいくつか紹介します。
・過保護な親
過保護な態度は、親が子供を過度に守り、自立や成長の機会を奪うことに繋がります。子供は自分で問題を解決する機会を得られず、自己肯定感や自己効力感が低下し、学校への不安や恐れを抱くようになります。親が常に子供を守る姿勢を見せることで、子供は学校に対する信頼感が低下し、学校への抵抗感や不登校の傾向が生じる可能性があります。
・親の期待に対する圧力を出す親
親からの過度な期待や圧力は、子供が自己肯定感を失い、自分の能力や価値に自信を持てなくなる原因となります。子供は親の期待に応えようとするプレッシャーを感じ、自己実現を追求することが難しくなります。その結果、学校への不安やストレスが増大し、不登校のリスクが高まります。
・家庭内の問題やストレスを子どもに与えてしまう親
家庭内での問題やストレスが子供に影響を与えることがあります。親とのコミュニケーション不足や家庭内のトラブルがある場合、子供は学校へ行くことを避ける傾向が生じます。家庭環境の不安定さや家族間の対立が、子供の学校生活にネガティブな影響を与える可能性があります。
・学校へのネガティブなイメージの伝達をしてしまう親
親が学校に対してネガティブなイメージを持ち、それを子供に伝えることで、子供も学校への不信感や不快感を抱くようになります。親のネガティブな態度が子供に影響を与え、学校への抵抗感が高まり、不登校のリスクが増加します。
・子どもへの関心や関与が欠如している親
親が子どもの学校生活や問題に無関心である場合、子どもは学校へのモチベーションを失うことがあります。親の無関心によって子供が学業や学校生活に興味を持たなくなり、不登校のリスクが高まる可能性があります。
親の負担と支援体制

不登校になった子供を見守るのは親にとって非常につらいことです。家族や友人との意見の相違や責められることもあります。子どもを支えるには、まず自分自身の健康が大切です。学校の先生やカウンセラーに相談することから始めましょう。
その後、自治体の「教育支援センター」で相談することをお勧めします。教育支援センターがない場合は自治体のホームページで相談窓口を探してください。適切な支援を受けるために施設を見つけ、電話で連絡を取り、予約をして訪問するのが一般的です。
まとめ

不登校の原因はひとつではなく複雑に絡み合っていることがほとんどで、ひとつの原因を特定することはあまり意味がないです。
文科省は不登校の子どもたちの支援は学校復帰を目標にするのではなく、社会的に自立することを目指すと明記した通知を出しました。
親ができることは「環境整備」であり、子どもたちが安心できる場所を見つける手助けをしましょう。
子どもを支えるには、まず自分自身の健康が大切です。そのため、学校の先生やカウンセラーに相談することから始めましょう。