はじめに

不登校は法律違反なのでしょうか。先に結論を述べると、これは間違いです。

この勘違いが生まれる理由として考えられるのは、世間の常識として「義務教育を受ける」=「学校に行くこと」であると考えられていることが多いということです。

そもそも、法律的に「義務教育」とは何なのでしょうか。

この記事では、不登校が法律違反で無い理由を憲法・法律を踏まえて簡単に説明します。

義務教育とは

教育の義務について、日本国憲法第26条には以下のように明記されています。

すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

(引用元:日本国憲法第26条

簡単に要約すると、子どもには教育を受ける権利が保障されているということです。

同じく第26条第2項には、次のように明記されています。

すべての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育はこれを無償とする。

(引用元:日本国憲法第26条

こちらも要約すると、小学校から中学校までの9年間は保護者が子どもに教育をさせる義務があるということです。

ここで注目すべきは、義務があるのは子どもではなく、保護者にあることです。子どもが教育を放棄する分には何も問題はありません。

不登校が法律的な問題だとされる点

上で述べたように、教育は権利であり、子どもたちが放棄する分には問題はありません。
しかし、学校教育法施行令第20条には次のように書かれています。

小学校、中学校、中等教育学校、盲学校、聾学校及び養護学校の校長は、当該学校に在学する学齢児童又は学齢生徒が、休業日を除き引き続き7日間出席せず、その他その出席状況が良好でない場合において、その出席させないことについて保護者に正当な事由がないと認められるときは、速やかに、その旨を当該学齢児童又は学齢生徒の住所の存する市町村の教育委員会に通知しなければならない。

(引用元:学校教育法施行令第20条

これを要約すると、学校長は児童生徒が長期間正当な事由なく休んだ場合、教育委員会に通知しなければならない。ということです。

そして、教育委員会から学校に来ない児童生徒がいる家庭に督促状が送られます。その家庭がこの督促状を無視した場合10万円以下の罰金刑に処される可能性もあります。

このように書くと不登校は法律違反のように聞こえます。

しかし、一番最初に述べたように不登校は法律違反ではありません。

それは、ここでいう正当な事由とは典型的には病気や発育不全などが挙げられますが、「その他のやむを得ない事情」も含まれます。たとえば、学校に行くと体調が崩れてしまうというのも正当な事由に含まれます。

不登校の子どもを支援する法律

2017年に不登校の子どもたちが教育を失わないための法律として通称「教育機会確保法」というものが施行されました。
この法律は学校に行けない子どもに休養を与え、その間、学校以外の場所での学びを推奨していく考え方を示しました。

さらに、2019年に文科省は不登校の子どもたちの支援は「学校復帰」を目標にするのではなく、子どもたちが自らの進路を主体的に捉えて、「社会的に自立」することを目指すと明記した通知を出しました。

このように不登校は決して法律違反ではないです。子どもにとって学ぶことは「義務」ではなく「権利」なのです。

まずは自治体の相談機関へ

自治体には、子どもの不登校や心の問題を支援する機関が数多く存在していますが、適切な機関をすぐに見つけるのは難しいことがあります。全国的な相談ダイヤルはないため、どこに相談すれば良いか迷うこともあります。

ただし、多くの自治体には「教育支援センター」が設置されており、不登校や学習支援に関する相談が可能です。まずは、お住まいの自治体の「教育支援センター」に相談してみることをおすすめします。

もし教育支援センターがない場合や十分な支援が得られない場合は、自治体のホームページで相談窓口を探してみてください。適切な施設を見つけたら、電話で連絡を取り、予約をして訪問する流れが一般的です。

まとめ

「学校に行くと体調が崩れてしまう」というのも学校に行かない正当な事由として認められている。 学校を休むのは子どもに認められた権利です。

子どもにとって学ぶことは「義務」ではなく「権利」です。

すべての不登校の子どもたちが学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えることが大事です。

まずは、自治体の教育支援センターに相談するのをオススメします。

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